重要なポイント
- 金(ゴールド)は3,270ドルから3,300ドルの間で保ち合いを続け、主要なテクニカルサポートを維持しています。
- 中国の金需要は第1四半期に前年比5.96%減少し、センチメントに圧力をかけています。
- 3,270ドル付近のトリプルボトムに注目が集まっており、下方へのブレイクがさらなる下落を引き起こす可能性があります。
- FRB(連邦準備制度)の利下げ期待が引き続き金にとって安全網となっています。
- 米国の雇用データとインフレ指標が次の動きの重要なカギとなります。
市場の動向と最近のパフォーマンス
金価格は慎重な保ち合いの段階に入り、3,270ドル〜3,300ドルのゾーンで取引されています。最近の取引では、米中貿易摩擦の緩和と中国からの需要シグナルのばらつきの影響を受け、高値水準からわずかに後退しました。第1四半期には、中国の金消費が前年比5.96%減少し、主に宝飾品購入の27%という大幅な減少が要因でしたが、金地金およびコイン需要のほぼ30%の急増によって一部相殺されました。
米中間の貿易動向は相反するシグナルを示し、市場のセンチメントを慎重なものに保ちました。ワシントンは一部関税の緩和に動き、トランプ大統領も交渉継続を示唆しましたが、北京が積極的な交渉を否定したことで不確実性が高まりました。こうした逆風の中でも、特に東ヨーロッパにおける地政学的不安定性が金に対する安全資産としての支えを維持しています。
テクニカルおよびファンダメンタルの影響
テクニカルの観点では、金は現在3,270ドル付近の重要なトリプルボトムのサポートエリアをテストしています。このレベルを持続的に下抜けすると、3,240ドルゾーンへのさらなる下落の可能性が開かれます。一方、上値では3,320ドル付近に初期のレジスタンスがあり、より強い障壁は3,345ドル付近に位置しています。

モメンタム指標は、中立から弱気へのバイアスを示しています。日足チャートの相対力指数(RSI)は50付近を推移しており、方向感の欠如を示唆しています。一方、20日移動平均線は3,320ドル付近で横ばいとなっており、強気派と弱気派の綱引きが続いていることを示しています。
ファンダメンタル面では、トレーダーは今週発表される米国の経済指標、特にJOLTS求人件数、コアPCEインフレ率、そして金曜日の非農業部門雇用者数(NFP)に注目しています。6月の連邦準備制度(FRB)の利下げ期待は依然として強く、先物市場では2025年末までに最大100ベーシスポイントの緩和が織り込まれています。通常、金利の低下は、利息を生まない資産である金の保有に伴う機会費用を低減することで、金を支えます。
貿易に関する慎重ながらも楽観的な見通しがある一方で、依然として堅調な米ドルが短期的には金の上昇余地を制限する可能性があります。それでも、世界的な地政学的リスクと金融政策への期待によってもたらされる安全資産需要が、大幅な下落を抑えると見込まれます。
今後の見通し
金の直近の動向は、米国の経済指標と連邦準備制度(FRB)の政策期待という2つの主要な柱にかかっています。雇用市場の指標やインフレ指標に軟化の兆しが見られれば、FRBによる積極的な利下げ見通しが強化され、金価格に新たな支えをもたらすでしょう。逆に、これらの指標が予想外に強い結果を示した場合、利下げ期待の見直しを促し、金に下押し圧力がかかる可能性があります。
テクニカル的には、3,270ドル付近のトリプルボトムサポートを維持することが重要です。このレベルを維持できなければ、金はさらに深い損失にさらされる可能性があります。一方、ハト派的な経済サプライズによってサポートから反発すれば、3,345ドル付近への強気のモメンタムが再燃する可能性があります。
市場がFRBの利下げ期待を再調整する中、トレーダーは特に主要経済指標の発表時に今週のボラティリティの急上昇に備えるべきです。